ウイスキーファンのためのスキットル(ヒップフラスコ)解説

ウイスキーファンのためのスキットル(ヒップフラスコ)解説ページです。特に記事後半にウイスキー関連のコラムを書いています。

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スキットル(ヒップフラスコ)とは
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スキットル(ヒップフラスコ)とは

ハイランドパークのスキットル(ヒップフラスコ)

ハイランドパークのスキットル(ヒップフラスコ)

「スキットル」とは、ウイスキーなどの蒸留酒を入れる小型で薄型の水筒のことです。海外の映画やドラマでたまに見る、ポケットから取り出してクイっとやる、なんか格好いいアレです。

もちろん実用性もあるのですが、メンズアクセサリーとしての趣が強いです。

海外では「ヒップフラスコ」と呼ばれます。ズボンの後ろポケットに入れるのでヒップフラスコです。そのために、小さく、薄く、湾曲しているのが通常の形状です。

伝統的にはガラスや、「ピューター」と呼ばれる錫(すず)合金で作られていました。近年ではステンレス製が主流で、チタンなどの素材も使われます。

スキットルの中に入れるのは、ウイスキーやウォッカなどの蒸留酒であれば問題ありません。逆にワインや日本酒などの醸造酒は、金属の汚れや腐食などの可能性があるため入れない方がいいです。

利用シーン
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スキットルの利用シーン

本来の用途から言えば、スキットルが活躍するのはアウトドアやレジャーです。以下、いくつか例を挙げておきます。

散歩

散歩のお供にどうでしょうか。海外では犬の散歩と一緒にスキットルをもっていくのはよくある光景です。

バーベキュー

現実的な使い方です。ただし、自分一人で飲むのか、周りの人とシェアするのかがポイントとなります。自分一人で飲む場合は、周りから「格好つけやがって」と思われる危険性があります。当方としては周りとシェアするのをお勧めしておきます。

登山

バーベキューよりは自分一人で飲むことが許される雰囲気だと思われます。

スポーツ観戦

便利で実用的な使用方法で、海外でもよく見られる光景です。アルコールを持ち込んでよいかどうかは会場の規則に従ってください。

ちょっと気取った夜に家で使う

外で使う機会がない、勇気がない、そんなときには家で使うのもアリです。ウイスキーボトルからわざわざ一度スキットルに移し替えるという非生産的な行動ですが、気分が上がること間違いありません。

インテリアとして使う

スキットルがアクセサリーの一種であることを考えると、インテリアとして使うことはとても実用的です。お部屋はもちろん、バーのインテリアとしても映えます。

使い方
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スキットルの使い方

ウイスキーを入れて飲む、で終わりなのですが、一応少し踏み込んでみます。

【注ぎ方】漏斗(じょうご)を使う

スキットルの口は狭いので、漏斗(じょうご)を使ってウイスキーを注いでください。漏斗がセットになっているスキットルも多く売られています。

【飲み方①】直接飲む

スキットルのキャップを外して、そのまま口をつけて飲みます。まさにこれがやりたかったんだよ、という飲み方です。1人のときはこれでいいでしょう。
洋画のように、直接飲んでから「お前もどうだ?」と仲間に渡すのは日本ではやや危険です。内心嫌がられている可能性があります。

【飲み方②】カップやグラスに注いで飲む

仲間とシェアするときは、やはりグラスなどに注いで飲むのがいいでしょう。その際、「これ口付けてないから」と一言添えると周りも安心するでしょう。

「スキットル」「ヒップフラスコ」という名前について
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「スキットル」「ヒップフラスコ」という名前について

「スキットル」という名前は、イギリスのボウリングの原形のようなゲーム「スキットル」が由来です。そのスキットルのピンに形状が似ていることから、小型の水筒をスキットルと呼ぶようになったそうです。

イギリスのゲーム「スキットル」のピン

イギリスのゲーム「スキットル」のピン

しかし、上記のゲームのスキットルのピンを見てください。ウイスキー用のスキットルに似ていますでしょうか?あまり似ていないように思えますね。

イギリスと日本で呼び名が違う?

さて、日本では「スキットル」で定着しつつあるこのスキットル。イギリスでは「フラスコ(flask)」または「ヒップフラスコ(hip flask)」と呼ばれるのが一般的です。一体なぜ呼び名が違うのか、以下にかんたんにまとめます。

スキットル

小型の水筒を指す言葉で、日本で定着した名称です。しかしイギリスで「スキットルボトル」というと、本当にゲームのスキットルのピンに似た円筒型の水筒を指すことになります。ウイスキー販売店の中などではスキットルでも通じるとは思いますが。

フラスコ

イギリスでウイスキー用の水筒、または魔法瓶のことを指します。(科学実験で使うフラスコの話は置いておきます。)

ヒップフラスコ

イギリスでウイスキー用の水筒のことを指します。ズボンの後ろポケットに入れるために薄型で、ヒップの形状に合わせて湾曲しているのでヒップフラスコです。

 

というわけで、「ヒップフラスコ」がウイスキー用水筒を指す適切な名称だと言えますし、実際にイギリス人に一発で伝わるのもこれでしょう。

しかし日本では「スキットル」が定着しました。水筒を指すので間違ではないのですが、イギリスでは本来円筒形の水筒を指します。

※ちなみに「コートフラスコ(coat flask)」や「ポケットフラスコ(pocket flask)」という言い方もあります。

素材の違い
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スキットルの素材の違い

ステンレス

一番出回っているスキットルはステンレス製のものです。

■メリット
錆に強い、丈夫、手入れが比較的楽
■デメリット
ウイスキーを入れっぱなしにしておくと金属特有のにおいが移る可能性がある

チタン

加工が難しく値段も高いため比較的少数です。

■メリット
錆にかなり強い、軽い、丈夫、におい移りしにくい、手入れが比較的楽
■デメリット
特に無し

ピューター(錫合金(すず合金))

一番伝統的な雰囲気を持ちます。

■メリット
わずかに味がまろやかになる、錆にかなり強い、におい移りしにくい、美しい装飾のものが多い
■デメリット
重い、柔らかいので曲がりやすい、手入れに少々手間がかかる

 

素材の値段としては高い順に[ピューター > チタン > ステンレス]となります。

ピューターは味をまろやかにする(イオン効果)ということですが、科学的実証はあまりなされていません。しかし実体験や飲み比べで、実際にピューターは味がまろやかになるという意見は多く、アルコールの刺激を抑えてくれる効果があるようです。

ウイスキーフリークとしては味が変化すること自体に抵抗があるかもしれませんが、スキットルの利用シーンがカジュアルであることを考えると、ピューターによるウイスキーのわずかな味変化も面白いのではないでしょうか。

他にもガラスやプラスチックなどもスキットルの素材として使われます。

ガラスはそもそもウイスキーのボトルに使われているくらいなので、味にも影響がなくおすすめできます。割らないようにご注意ください。

プラスチックはビジュアル的に微妙ですかね。変な話ですが、プラスチック製のスキットルの利点は金属探知機に引っかからないことです。

使用時の注意
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スキットル使用時の注意

入れていい酒、入れてはいけない酒

蒸留酒(ハードリカー)を入れてください。醸造酒やリキュール系は避けてください。

入れていいお酒

  • ウイスキー
  • ラム
  • ジン
  • ブランデー
  • ウォッカ

入れてはいけないお酒

  • ビール
  • ワイン
  • 日本酒
  • カクテル
  • リキュール類
  • その他の醸造酒類

入れてはいけない酒を入れると、酒の劣化、スキットルの汚損や劣化の可能性があります。

お酒を入れておける期間

基本は1日です。その日飲む分を入れ、その日のうちに空にして洗ってください。普段水やお茶を入れる通常の水筒と同じイメージです。

洗い方とお手入れ
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スキットルの洗い方とお手入れの方法

スキットルの洗い方については、いくつかあるイギリスの専門店でも推奨方法がやや異なります。

その中でも日本の環境に合わせた洗い方をご紹介します。

【洗い方①】食器用洗剤を使う方法

なるべくにおいの弱い食器用洗剤(中性洗剤)を使用してください。

  1. スキットルの中に水を7分目ほど入れる
  2. 中性洗剤を数滴加える
  3. キャップを閉じてスキットルをよく振る
  4. キャップを開けて中の液体を抜く
  5. 水のみを加え手順3・4を行う➡本手順を繰り返して十分にすすぐ
  6. 水気を切り十分に乾かす

哺乳瓶ブラシなどのやわらかいブラシを使って内部を掃除することもできます。その際はスキットル内部を傷つけないようにご注意ください。

【洗い方②】ホワイトビネガーを使う

必ず蒸留されたホワイトビネガーを使えとのことです。例えば「ハインツホワイトビネガー」などは手に入ると思われます。

  1. スキットルの中にホワイトビネガーを5分目ほど入れる
  2. キャップを閉じてスキットルをよく振る
  3. キャップを開けて中の液体を抜く
  4. 水のみを加え手順2・3を行う➡本手順を繰り返して十分にすすぐ
  5. 水気を切り十分に乾かす

汚れが多い場合には、ビネガー50ml + 生米スプーン一杯を入れて上記手順を行うというのも紹介されていました。(https://swigflasks.com/より)

【ご注意】

スキットルのお手入れに関して、多くのウェブサイトで漂白剤、砂などの使用が推奨されていますが、それらは民間療法のようなものですのでおすすめしません。以下のものは使用しないでください。

  • シンナー類
  • クレンザー
  • 漂白剤

そもそも「砂」使いたいですかね。一体どこの砂使うんでしょうか。

ウイスキー好きとしてのスキットル使用の賛否
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ウイスキー好きとしてのスキットル使用の賛否

本格的なシングルモルトウイスキー愛好家の中には、スキットルでウイスキーを飲むのは冒涜だと言う人もいるでしょう。

確かに、シングルモルトのアロマやフレーバーを存分に味わうには、スキットルは最適な方法ではありません。しかし、ウイスキーのテイスティングをするときにわざわざスキットルを使うでしょうか?バーで「マスター、ラフロイグ25年をこのスキットルに」なんて人がいたらなかなかの変人です。

スキットルの用途を考えると、やはりメインで活躍するのは野外です。休日の散歩でスキットルからウイスキーをクイっとやる。バーベキューでウイスキーカクテルを作る。そんなカジュアルな場面であれば、スキットルの使用は「ちょっといい時間」を提供してくれるでしょう。

グレンフィディックやアードベッグなど、オフィシャルでスキットルを販売しているところもありますし、スキットルはいろいろな場面でウイスキーを楽しむためのツールだと言えます。

中に入れるウイスキーは何がいい
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スキットルの中に入れるウイスキーは何がいい

なんでもいいんです。が、やはりバーベキューで「マッカラン30年を入れてきた」なんて人がいたら一般常識的にどうかしていると言わざるを得ません。

個人見解となりますが、バーボンはカジュアルなイメージもありスキットル向きではないでしょうか。スコッチもオフィシャル10年ぐらいのシングルモルトがちょうどよいと思われます。公式からスキットルが販売されていたら推奨としましょう。以下いくつか例を挙げてみます。

メーカーズマーク

公式からスキットルが販売されています。また「ライ麦ではなく小麦を使用したメーカーズマークは夏のバーベキューと相性が抜群」という記事を見たことがあります。

ジャックダニエル

公式からスキットルが数種類販売されています。ジャックダニエルに関しては公式ではない、偽物のスキットルも多く出回っているような気がします。

ハイランドパーク12年

オフィシャルのスタンダードボトルです。公式からスキットルが販売されています。

グレンフィディック12年

オフィシャルのスタンダードボトルです。公式からスキットルが販売されていて、グレンフィディック丸々1本入る大容量700mlのものもあります。

アードベッグ10年

バーベキューでアードベッグを使ったカクテルを作る、というのが公式より宣伝されていました。「アードベッグスモーカー」という燻製キット付き限定ボトルというのもありましたね。

オールドプルトニーナビゲーター、またはオールドプルトニーダンカンズビィヘッド(免税向け)

オールドプルトニー公式に「この2つはフレーバーもいいし値段もそんなに高くないのでスキットルに入れるにはいいだろう。」というようなことが書いてありました。

 

以上です。

少しバーベキュー寄りのチョイスになってしまいましたね。上記は一例です。お好きなウイスキーを入れて楽しんでください。

おすすめのウイスキースキットル
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おすすめのウイスキースキットル

ウイスキー好きのためのスキットルということで、蒸留所純正の製品を紹介したいと思います。

ハイランドパーク

丸いフォルムにハイランドパークのロゴ「h」を中央にあしらったデザインは見た目のインパクトもあり、またヴァイキングをルーツに持つハイランドパークらしいちょい悪感もあり格好良いです。

グレンフィディック

商品が入荷され次第ご紹介いたします。

アードベッグ

商品が入荷され次第ご紹介いたします。

当ショップのスキットルを見てみる

当ショップで取り扱っているスキットルを以下からご覧ください。


スキットル

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