ウイスキーに使われるグラスはいくつか種類があります。「テイスティンググラス?」「スニフター?」「タンブラー?」など、呼び方が少々ややこしいので、まずは全体を整理してしまいましょう。ウイスキーグラス5種類としてまとめましたので、以下をご覧ください。

ウイスキーグラス5種類まとめ

■テイスティンググラスに属するもの(ノージンググラスとも呼ばれる)

  • グレンケアン(製品名)
  • コピータ
  • スニフター

■テイスティンググラスではないもの

  • タンブラー(ロックグラス)
  • ハイボールグラス

テイスティンググラス(ノージンググラス)とは

「テイスティンググラス」や「ノージンググラス」というのは、テイスティング(味を見る)やノージング(香りを嗅ぐ)するグラスの総称なんですね。その中で「グレンケアン」「コピータ」「スニフター」などがあり、それらはグラスの形状を指すわけです。なので特定の形状を指すコピータグラスのことを、より大きなカテゴリーで「これはテイスティンググラスだ」と言っても問題はありません。

テイスティンググラスの中には製品名である「グレンケアン」も含まれます。なぜここでグラスの種類ではなく製品名が出るのかというと、ウイスキーのテイスティングにおいてはグレンケアンがもっともスタンダードだからです。

ウイスキーの香りを正確に知る、つまりテイスティングするには、必ずテイスティンググラスが必要になります。ウイスキーの味わいの90%は香りで決まると言われる(注:マッカラン公式の見解より)ので、グラスの形状はとても重要です。通常のコップやロックグラスと比べて、テイスティンググラスはウイスキーの香りの立ち方が全く違い、中でもグレンケアンや良質なコピータグラスはウイスキーのアロマを特に高めてくれます。

☟ウイスキーテイスティングに必要なグラスは以下

  1. グレンケアン
  2. コピータグラス

上記どちらかでもいいですし、両方持っておくとさらに良いです。

もしまだテイスティンググラスを持っていないという方は、まずはグレンケアンを手に入れるとテイスティンググラスの基準になります。その後、お気に入りのコピータグラスを手に入れたり、スニフターを試したりするとよいかと思います。

一方タンブラー(ロックグラス)やハイボールグラスはテイスティング向きではなく、氷で冷やす、炭酸で割る、カクテルを作るなど、ウイスキーをアレンジして飲むためのグラスになります。

それでは個々のグラスについて解説していきます。

ウイスキーテイスティンググラス(ノージンググラス)

テイスティンググラスのカテゴリーから解説していきます。

グラスの解説の前にウイスキーテイスティングについてかんたんに解説しておきます。テイスティングはストレートが基本で、アレンジする場合で少量の加水をします。トワイスアップ(ウイスキーと同量の水を加える)は薄まりすぎなのでテイスティングでは使用しません。

それともう一つ、グラスの形状について「チューリップ型」という用語がよく使われます。チューリップ型というのは下方が膨らんでいて、上部のリム部分がすぼまっている形状を指します。

それではテイスティンググラスについて解説していきます。

グレンケアン

グレンケアンはグレンケアン社が作るテイスティンググラスの製品名で、2000年代初頭にスコットランドの5大蒸溜所のマスターブレンダーたちと共同でデザインされました。エレガントでクラシック、柔らかいチューリップ型の形をしたグレンケアンのウイスキーグラスは、世界中の蒸留所やウイスキー愛好家から高い人気を得ています。

ウイスキーのために作られたこのグラスの形状は、スコッチウイスキーの蒸溜所や研究所がウイスキーを作る際に使用する伝統的なノージング・コピータグラスにヒントを得ています。グラス下方のふくらみでウイスキーの香りがため込まれ、その香りが揮発して上へと向かいます。グラス上方が細くなっているため、揮発した香りが集められて濃厚な香りとなります。

グラスの重心が下方にあり、スワリングをするときに安定感があります。その代わりステム(脚)が無いためグラスカップを持つ必要があり、手の温度がウイスキーに伝わりやすくなります。
※ただし、グラスの土台を指で持って温度を伝わりにくくする持ち方もよく見られます。

「公式ウイスキーグラス」を謳うグレンケアンは、香りの揮発と液体の味わいのバランスが良く、テイスティンググラスの中でもひとつの基準となるグラスです。

グレンケアンの特徴

  • どんなウイスキーでも対応できるオールラウンダー
  • 香りの揮発が良く濃厚な香りとなる
  • ハイプルーフ(高アルコール度数)のウイスキーだとアルコールを感じすぎるとの意見もある

コピータ

コピータグラスの形状は、一言でいうと「小さなワイングラス」。一般的なワイングラスのようにチューリップ型で、ステム(脚)が付いています。グラスカップではなくステムを握ることで、手の温度をウイスキーに伝えずにテイスティングすることができます。

もともとシェリー酒を飲むための伝統的なグラスで、別名「シェリーグラス」や「ドックグラス」とも呼ばれます。ドックグラスという名称は、商人が波止場(ドック)でワインやスピリッツをチェックするために、ポケットに入れやすい小さな器を使っていたことに由来します。

チューリップ型のカップにより、グラス下方でため込んだ香りをノージングすることができます。ウイスキーを注いでから少し置いてノージングしたり、スワリングして揮発を促したりと香りをコントロールしやすくなっています。

洋梨のような形のグレンケアンはグラス下方が特に膨らんでおり、ウイスキーの液面が大きく広がることで香りが揮発しやすくなっています。一方、卵のような形のコピータグラスは液面がグレンケアンほどは広くなく、香りの揮発がやや抑えられます。そのためコピータグラスではアルコール臭がウイスキーのアロマを圧倒してしまうということがなく、より大きく香りを吸い込んでノージングすることができます。カスクストレングスなどのハイプルーフのテイスティングでコピータグラスが好まれるのはそういった理由からでしょう。

コピータグラスの特徴

  • どんなウイスキーでも対応できるオールラウンダー
  • 香りの揮発がほどよい
  • ハイプルーフ(高アルコール度数)のウイスキーテイスティングにもよい
  • 手の温度をウイスキーに伝えない
  • 香りの揮発だけでいうとグレンケアンのほうが強め

スニフター

解説にやや困るのがこの「スニフター」です。スニフターとはもともとブランデー用のグラスで、大きなカップで底が広く、上に向かってすぼまっているのが特徴です。また短いステムが付いています。

このブランデースニフターをウイスキーに使うと、アルコールが揮発しすぎて刺激が強く、テイスティングには向いていないという意見が多いようです。カスクストレングスなどのテイスティングには使わない方が無難です。ただし、アルコール40%ぐらいのウイスキーであれば逆に豊かな香りを楽しむことができます。

手で包み込むようにして持つと飲むと液体が温まり、味わいが変わります。スニフターは、熱の微妙な変化がウイスキーの味わいにどのような影響を与えるかを試したい場合に最適です。

さて、スニフターと言えば上記の通りブランデー用のスニフターが基本となるのですが、困ったことに「ウイスキースニフター」とか「スピリッツスニフター」などという名称で販売されるグラスもあります。こうなると何でもありでして、もはや特定のグラス形状を指しません。単に「スニフター」イコール「テイスティンググラス」または「ノージンググラス」だと思っておけばよいと思います。
※スニフ(sniff)は「くんくん嗅ぐ」の意味ですので、ノージンググラスの意味としてスニフターと使うのは確かに間違っていないと思います。

ウイスキー用のスニフターとして販売されているものでよく見るのは、チューリップ型のカップに長めのステムが付いたものです。性能はまちまちですが、ウイスキー用に作られているので優秀なものが多いと思ってよいかと思います。

スニフターの特徴

  • 基本はブランデー用のスニフターを指す
  • ウイスキーテイスティングにはやや大きすぎるので、度数が低めのウイスキーにおすすめ
  • 手で温めて味の変化を確認することができる
  • ウイスキースニフター=ウイスキーテイスティンググラス

ウイスキーテイスティング(ノージング)グラスまとめ

ウイスキー用のテイスティンググラスの種類について解説しました。今回はテイスティンググラスを代表的な3種類に分けましたが、他にもいろいろな製品があります。

  • ノーラングラス
  • ニートグラス
  • パーフェクトウイスキーグラス
    などなど

これらは個々の製品になりますので、まとめるとすべてテイスティンググラスに属するものとなります。

また「コピータ」や「スニフター」は、基本的には上記で紹介したような特定の形状を指すのですが、ほとんど「テイスティンググラス」と同義で使われることも多いです。例えば以下はウイスキーテイスティンググラスによくある形状ですが、なんと呼びましょう。

アードベッグティスティンググラス蓋外した状態
アードベッグティスティンググラス

上記グラスはコピータと呼ばれることもあれば、スニフターと呼ばれることもあります。伝統的な名称がないグラスは色々な名称が当てはめられます。このようにコピータやスニフターは呼称の垣根があいまいになっていますが、大元の形を知っておくことが大事かと思います。

それでは次です。

タンブラー(ロックグラス)、ハイボールグラス

タンブラー(ロックグラス)やハイボールグラスは、テイスティンググラスに属さないグラスです。

タンブラー(ロックグラス)

「タンブラー」自体は日本語で言うところの「コップ」に相当するもので、背の高いものや低いものも含めコップ形状のものはすべてタンブラーと言えます。しかしバーウェアや特にウイスキーの話になると、タンブラーと言えば背の低いグラス、つまりロックグラスを指すことが多いです。日本では「ロックグラス」、海外では「ショートタンブラー」と言えばより正確に伝わります。

タンブラーは、「ロック」のほかにも「オールドファッション」、「ローボール」などの名称でも知られており、ウイスキーグラスの代表的なものと言えます。

飲み方はストレート、ロック、またカクテルを作るのにも向いています。用途としてはロックで使われることが多いですね。ストレートに関しては、タンブラーの開いた円筒形の形状はアロマを保持するために設計されたものではないため、テイスティングには向いていません。しかし中にはアードベッグやハイランドパークのタンブラーのように、上部に向かってすぼまっている形状のものもあります。こういったウイスキーを意識したタンブラーであれば、香り立ちもそこそこよく使い勝手がいいです。

タンブラー(ロックグラス)の特徴

  • タンブラーという言葉自体はコップのことを指すが、ウイスキーに関して言えばロックグラスを指すことが多い
  • ストレート、ロック、カクテル向け
  • ウイスキーテイスティングには向かない

ハイボールグラス

ハイボールグラスは背の高いタンブラーで、一般的な「普通のコップ」で想像するものの形です。カクテルで使用される細長いコリンズグラスがありますが、それよりは幅がありどっしりとしていることが多いです。ストレートな円筒形のほか、上部に向かって少し広がっている形状も多く見られます。

用途はハイボールとカクテルです。ハイボールに使用するので、ハイボールグラスの形状はさほど気にする必要はないかと思います。

ウイスキーをハイボールにすると当然味は薄まってしまいます。しかし炭酸が特定の香りを運んでくれ、時に面白い変化をもたらしてくれます。いっきにスモーキーさが押し寄せてきた、柑橘感が強調された、などハイボールならではの変化があります。

またストレートやロックだと大して美味しくないのにハイボールだと妙に美味しいウイスキーがあったり、ハズレのウイスキーをハイボールにして飲んでしまえたりと、ハイボールグラスの出番は意外と多いかもしれません。

ハイボールグラスの特徴

・普通のコップの形
・ハイボール、カクテル向け
・炭酸による味の変化を楽しめる

ウイスキーグラス5種類おわりに

今回はウイスキーグラスを5種類に分類し解説しました。最近ではさまざまなウイスキー用のグラスが販売されていますが、基本の5種類を覚えておくことで呼び方に困らなくなります。

変わった形のウイスキーグラスを見つけたら、まあ大体「これはテイスティンググラスだ」と言っておけば問題ないでしょう。

当ショップのウイスキーグラスをご覧になりたい方は以下からどうぞ。


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